講師紹介│入江 昭(いりえ あきら)氏1934年東京で生まれる。
1953年成蹊高校卒業後、米国に留学、
1957年ハヴァフォード大学卒業、
1961年ハーヴァード大学歴史学部博士課程終了。
その後米国の諸大学で教え、現在ハーヴァード大学歴史学部教授。
この間1988年から米国歴史学会会長をつとめた。専攻は米国外交史、国際政治史。
最近の主な著作(日本語)に、『20世紀の戦争と平和』『日米関係50年』、『米中関係のイメージ』、『権力政治を超えて』、『グローバルな平和のために』などがある。この他にも英語・日本語両方の著作が多く、それに対して吉野作造賞、吉田茂賞を受けた。また、丸山眞男への優れた追悼「丸山先生に遊び方を教わる」(みすず編集部編『丸山眞男の世界』みすず書房、1997年所収)がある。
光子夫人は、東京女子大学で学んだ(1959年英米文学科卒業)後、ハーヴァード大学で比較文学を学び、博士号を取得。永井荷風『あめりか物語』の英訳(コロンビア大学出版部刊)に対して、日本翻訳家協会奨励賞を受けた。東京女子大学学報2001年3月号に、この間のあゆみを振り返った、美しいエッセイを寄せられている。
講演要旨│私は丸山先生の学問的な専門分野にかんしては門外漢だが、アメリカにおいて、あるいはアメリカにかんして、先生から教えられたことは実にたくさんある。
今回は、アメリカという枠組みの中で見た丸山眞男先生について、考えてみたい。
先生が1930年代、東大法学部の学生、そして助手時代に、アメリカの政治学者の本を多数読んだことは、しばしば語られていた。日米関係が険悪だった当時、アメリカの学界を高く評価されていたのは、注目に値する。私は1960年代から1970年代にかけて、アメリカで先生とお目にかかる機会が何度かあったが、アメリカでの生活をエンジョイされているような印象を受けた。アメリカの自然に親しみ、オペラを鑑賞し、社会の庶民性を高く評価されていた。またその反面、米国の外交や軍事政策に対しては、きわめて批判的だった。
今日のアメリカについて、先生のお考えをうかがえないのが残念である。